メルカリのBOLD INTERNSHIP in USAに参加した話
参加したというかまだインターンは終わってませんが、メルカリのBOLD INTERNSHIP in USAの一環でアメリカに1週間行ってきました。
インターンの内容についてはURL先の通りです。
「メルカリがアメリカで戦うためのアイデア考える」というMissionと「メルカリ及びCtoCサービスのユーザーヒアリングと改善提案」というCurriculumは指定されているものの、調査する内容や方法、提出するアウトプットの形式、渡米する日付や現地での過ごし方など一切指定されていません。全部、自分で1から考えて行動するというめっちゃBoldなインターンとなっています。
メルカリには調査した内容をちゃんとまとめて提出しますが、このインターンにはMissonの他に「学生に自分の目と足で世界を知ってほしい」という主催者の思惑があり、ただ、提出する資料に個人的に感じたことをつらつらと書くわけにもいかないので、お礼の意味も込めてこのブログに書いてみたいと思います。あくまでも日記の立ち位置でご覧ください。
ミズーリ州
今回、派遣されたのはアメリカのほぼ真ん中に位置するミズーリ州です。
特にカンザスシティはその位置と人口比率より、「Heart of America」とも呼ばれています。
大きな都市をざっと調べ、カンザスシティとセントルイスに行くことにしました。2つの都市はAmtrakが繋いでいるので、それに乗れば移動もなんとかなりそうです。wiki情報によると、両方の都市ともに治安が良くないらしい…。出国前はめちゃくちゃナーバスでした。
カンザスシティ
3/22
カンザスシティに到着。
3/23
University of Missouri Kansas City(UMCK)で調査を行いました。
(良い画像がなかったので、umck.eduからお借りしています)
事前情報として、他のインターン生からメルカリは圧倒的に知られていないということを聞いていました。 実際に調査したところ、やはり事前情報の通り、メルカリはほぼ知られていなくて、cragslistやebayといった、日本では聞き覚えのないサービスが主流だということが分かりました。
3/24
事前情報に加えて、前日の結果もあり、調査の糸口が全く見えなくて帰りたさに溢れていました。なので、気分転換もかねて、カンザスシティをぶらぶら歩きながら観光することにしました。
ユニオンステーション周辺。
カンザスシティは、ダウンタウンには高層ビルが立ち並び、全米最古といわれるカントリークラブ・プラザにはショッピングストアが集まっていて、住宅街は閑静でとても住みやすいです。全米の都市の中でも物価は安い方で、渋滞が多発するほどの交通量はありません。犯罪率がロサンゼルスの2倍という話も聞きましたが、夜でも若者が道を歩いていたり、ユニオンステーションや観光地などでは子ども連れの家族も多かったので、あんまり危ないという印象はありませんでした。物価が安いこともあってか、ホームレスはあまりいませんでした。
ユニオンステーションの中。
National World War I Museum and Memorial。カンザスシティに行くなら必ず訪れて欲しい場所です。街のシンボルであると同時に、第一次世界大戦の貴重な映像や資料などが展示されています。金曜日で平日でしたが、多くの観光客や生徒で賑わっていました。ここはアメリカですので、もちろんアメリカがどのようにして第一次世界大戦に巻き込まれたかという説明が多かったのですが、戦争を他の国の視点から見るということが初めてでとても新鮮でした。
プラザ周辺のヨーロッパ風の街並み。
で、今日は何も収穫ないなーって思ってプラザのスターバックスで落ち込んでいると、
「ねぇ、君。それもしかしてメルカリ?」
突然、黒人の男性に声をかけられました。びっくりして挙動不審になりながらもお話を聞くと、どうやら彼と彼の友人達はメルカリユーザだったみたいです。 さらに、その男性はwish, letgo, offerup, postmarkも使用しており、どれも日本では聞き覚えがないですが、アメリカではメルカリの競合となるサービスでした。その男性達にメルカリの問題点を聞いた所、
「貧弱なサービス、配達が遅い、配達が遅い上に遅延する」
という、アメリカならではの回答が帰ってきました。確かに、日本では配達サービスが発達していますが、アメリカでは日本ほどちゃんとしていない上に、国土が広いのでそれらは問題になるなあって思いました。
セントルイス
3/25
朝にカンザスシティを出発し、夕方にセントルイスに到着。
Airbnbのホストの家でホームパーティーをするとのことだったので参加しました。 パーティには、日本、ドイツ、スイス、イタリアなどからセントルイスに移り住んでる人が来ていて、セントルイスはdiversityな街なんだなということを実感しました。ここで、皆さんからfacebookを使うよ!という声を聞きました。そういえば、今までもfacebookって声を聞いてたけど、なんでだ…?って思って見せてもらったら、
日本とUSとでFacebookのユーザインタフェースが違う!
ってことが判明しました。日本では、Facebookのアプリの下部の真ん中はMessengerのアイコンとなっていますが、US版ではそこが「地元の人達の間で中古商品を売ったり買ったりできるグループ」のアイコンとなっており、開くとメルカリのようなインターフェイスになって、地域の人が出品している家具や古着が表示されるのです! 彼らいわく、
「facebookをダウンロードしただけで使えるし、facebookはそもそもユーザーが多いので、一番便利だよ」
とのことでした。この機能が付いたのはわりと最近のことらしいですが、じわじわとcragslistのユーザーを食っていってる印象です。
3/26
予めfacebookを通じてコンタクトを取っておいた、日本文化が好きで現地の日本語クラブに通っているという社会人の方と合流しました。日本文化が好きということでしたが、やはりメルカリはご存知ない様子。それでも、話していくうちに仲良くなってセントルイスを案内してもらいました。
The Gateway Arch。街の至る所から見える巨大なシンボルです。側にはミシシッピ川が流れています。駅周辺は歩いていて怖かったですが、ここは子ども連れの家族も多くて安全な印象。
Forest Park。City Parkとしてはニューヨークのセントラルパークを抜いて全米で最も大きいらしいです。美術館や歴史館、動物園なども入っており、どれも無料だそうです。セントルイスは犯罪率が高いことで有名ですが、forest partよりも西南はむしろロサンゼルスよりも治安が良さそうな印象です。ファーガソンあたりは危険で地元の人もあまり近寄らないそうです。
Cathedral Basilica of Saint Louis。セントルイスにはたくさんの教会がありますが、その中でも最も大きく美しい外観と内装を持っています。アメリカの教会は基本的にオープンです。観光目的で入っても怒られませんでした。日曜日ということもあり、人がたくさんいました。
セントルイス・ワシントン大学。キャンパスが大きくて綺麗なのでセントルイスに来たら一度は入ってみる価値があると思います。
同時に、インターンの調査にも協力して頂き、セントルイスではわずか一日の活動でしたが十分なデータを取ることができました。 現地の若者の生の声を聴くとともに、日本の音楽や観光地も紹介できて有意義な国際交流ができました。
3/28, 3/29
カンザスシティ→ミネアポリス→羽田→岩国で帰国。
カンザスシティのホストが日本に旅行する予定って聞いてましたが、まさかの同じ便+席が前後でした。世界は狭いですね。
Airbnb等を通じた交流
調査の内容とは関係ないですが、AirbnbのホストやUberのドライバーとお話ができてとても楽しかったです。
Airbnbのホストにはダイソー等で買ったお土産をプレゼントして、仲良くなったUberのドライバーには羽田空港で買ったお菓子を渡しました。ホストはもちろんですが、ドライバーはあまり物を貰うような経験がないようでめちゃくちゃ喜んでくれました。
カンザスシティで滞在した家のホストとは、一緒にBBQを食べ、jazzバーに連れて行ってもらいました。 セントルイスで滞在した家のホストには、ホームパーティーに招待してもらったり、日が暮れた後に庭で焚き火を起こして飲み物を頂きながらお互いのことについて語りました。
カンザスシティはBBQで有名です。「日本から来たんだ」と店員にいうと「きっと親御さんが心配してるだろうから写真を撮ってあげるわ」って言われて撮ってもらいました。
カンザスシティはjazzでも有名です。チャーリー・パーカーの出身地です。
どれも普通に旅行しただけではできない特別な体験で忘れることができません。
なぜアメリカでメルカリが流行らないのか?
ちゃんとした考察は資料を提出する際にしますが、簡単に述べると、
・認知度
40人近くに聞いて、名前だけでも知っていると答えたのはわずか4人。
「メルカリの何が問題かな?」って聞いたら「知られていないことだよ」という回答を頂いて、そりゃそうだよなってなりました。
・競合サービスの違い
cragslist, ebay, amazon, facebook等、モノを売るためのサービスが既にたくさんあり、シェアを確立している。
- 家具等の郵送するには大きいものはcragslistで相手を探して取りに来てもらう
- 新品に近いものや家電はebayやamazonで高めに売る
- 同じコミュニティの仲間に売りたいならcragslistやfacebookを使う
といったふうに、売る相手・商品・目的によって既にある程度サービスが固定化されている。
wish, letgo, offerup, postmarkのような類似サービスも多い。
・国民性の違い
日本では直接会ってモノを渡すということが敬遠されていて、郵送が受け入れられている。一方アメリカでは、郵送が面倒くさがれていて、直接会ってモノを渡すのに抵抗がない。また、取引する際に想定しているモノの多くが家具等の大きなもので郵送しづらい。
じゃあメルカリは受け入れられないのではないかって言われるとそうも思わなくて、サービスやアプリの良し悪しの前に、致命的な認知度が問題だと思います。受け入れられるかどうかはその後かなと。(とはいっても、既にUSで結構な広告を打ってるみたい。むずかしい…)
まとめ
インターン生の中で現役の高専生が自分だけ、周りは数年単位で留学経験がある人達ばかり、訪問する街の治安が悪そう、ということで行く前はすごくナーバスでしたがなんとかなりました。
現地の生活を知るという目的もあり、普通に旅行するよりも得るものが多いインターンだったと思います。
また50の州からランダムに指定された場所に派遣されるというところが良いところだと思っていて、普段の旅行などでは行く機会のない場所に行くことができます。自分も最初は「ミズーリ州ってどこ??」って感じでしたし、現地の人にも「なんでわざわざこの街にきたの?」って言われました。でも、結果的にはミズーリ州に行けて良かったと思っています。カンザスシティもセントルイスも事前に調べた様子よりもずっと良い場所でした。
成果報告会も楽しみにしています。